土曜日, 7月 01, 2006

いのちのせんたく ー旅とは、どこかへ行くことではなく、 誰かに会うということであるー

Gちゃん






あなたが、もし、西表島ファンで、
毎夏行ってます、とか、年に2回は行きます、とか、
そういう人だったなら、
ひょっとすると、Gちゃんを知ってるかも知れない。

Gちゃんは、わたし、Giovanniより、3つほど年長。
祖母が生きていた、こどもの頃は、
夏休みの度に、鳥取の祖母のところで従兄弟姉妹たちが、
勢揃いになり、
男の従兄弟たちの最年長ということもあって、
Gちゃん、Gちゃん、と、慕われていたおにいちゃんだった。

今回の旅にあたって、
最後にGちゃんに会ったのはいつだったかと、
指折り、過去を辿ってみたのだが、
祖母の葬儀の時だとすれば、かれこれ、20年前になるのだろうか?

この20年のお互いの消息は、ほとんど知るところではない。
かろうじて、わたし、Giovanniは、
Gちゃんが、大学を卒業後、就職したけど、
会社を辞めて西表島へ行ってしまった、
という基本情報をだけは、知っていた。
だた、Gちゃんが、
わたしのフランス時代、インドなどアジアの旅人時代を、
知っているはずはなく、
恐らく、まだ何も世間を知らなかった、
ぽんやりしていた、Giovanniのイメージしか、
Gちゃんは持ち合わせてはいなかっただろう。

Gちゃんの母親である、M子叔母が
旅の行き帰りに語るGちゃんの過去20年を、聞かされて、
改めて、Gちゃんの人物像が、生き生きと浮かび上がり、
今、目の前で、授かった乳飲み子を抱く、
新米父親としての現在の姿に重なっていく。

学生時代から、西表の自然に魅せられて、
度々、この島を訪れていたGちゃんも、
就職をきっかけにして、
観念したのか、西表への旅をやめていたそうだ。

叔父が亡くなり、
叔母が一念発起で、住み慣れた家を売り払い、
通りをはさんだ、向こう側の家を購入して
引っ越す事を決意したとき、
Gちゃんが、叔母に、
『それなら、一緒にぶっとんでみよう』
(と、言ったかどうかは知らないが)と、
自分の決意を叔母に告げた。

会社を辞めて、西表へ行く、と。

会社勤めの3年間で、
大きなお金を蓄えていたそうで、
車を買うか、西表に行くか、迷った末、
西表移住を選んだらしい。

当初は、環境庁と沖縄県が運営する、
西表野生生物保護センターで、
まさに、イリオモテヤマネコなど、
絶滅危惧種と言われる動物を保護する仕事に従事し、
日々、調査や研究に明け暮れたのだそうだ。

本人は否定しているようだが、
その、イリオモテヤマネコの調査での実績が
高く評価され、
ツシマヤマネコの調査をすべく、
対馬への転勤を命じられたことをきっかけに、
同センターを辞したらしい。
それだけ、西表を愛していたということなのだろう。

西表の何に、Gちゃんは魅せられたのだろう?

野生生物保護センターを辞めた後、
Gちゃんは、西表エコツーリズム協会の設立に関わり、
現在も、そこでの働きを続けている。

西表エコツーリズム協会の設立の経緯や理念を、
改めて読んでみると、
Gちゃんが西表に向かい、そこに生活の基盤を置き、
そこから離れる事を拒んだ理由は、
単なる自然の美しさ素晴らしさに対する
憧憬のようなものだけに止まらず、
それらを破壊しようとしている大きな資本を阻止したい、
正しい生態系壊滅させる、いかなる原因をも根絶したい、
という、力強い積極的な姿勢があったのだということに、
気がつかされたのである。

ちょっとした会話の中にも、
西表の自然の生き物たちの話題が織り交ぜられる。
『ここから帰る間に、道ばたで、ジーっという
鳴き声が聞こえたら、何がいるか見てごらん』とか、
答えは教えてくれないけれど、
身近にいる生き物に、興味を抱くよう、
導いてくれるような、会話が楽しい。
こうやって、西表を訪れるたくさんの人たちに、
ここがただの観光地ではないのだということを、
知らせてきたのだろう。

GOひろみのモノマネをするときの声のような、
鼻を少しくぐもらせてちょっと甘えたように話す、
Gちゃんの独特な話し方は、今も昔と全く変わらない。
東京にいる都会っこだった、Gちゃんは、
いつの間にか、
イリオモテヤマネコを守り、マングローブを守り、
そして珊瑚礁を守り、
島の人たちの本来の暮らしを守る、強く逞しい大人に
なっていた。

もし、あなたが、西表島で、
アカショウビンや、有孔虫(こいつの骨が星砂!)について
熱心に語る、お兄さん(おじさん?)に出会ったら
それは、Gちゃんかも知れない。




そして、Gちゃんの生活を守ってくれる、
Mちゃんとの出会い、
それから、GちゃんとMちゃんに与えられた
守るべき存在、ゆうき君の誕生、と、
まだまだ、お話は続くが、
今回は、ここまで。

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