
親愛なるフランセス
君に、手紙を書くこの特別な機会が与えられて、
わたし、Giovanniは、何て幸せなことでしょう!
フランセス!
わたしは、君のことをずっと知っています。
君が生まれる前から、
君の両親に、君のお母さんのお腹に君が宿ったときのことを
報らされて以来、
折りに触れて、君のことは聞いてきました。
君がうんと小さい赤ちゃんだった頃から、
あなたのお母さんは、君の写真も送ってくれましたから、
わたしは、まるで君に会ったことがあるような気になりますが、
君が生まれてから、
わたしたちは、未だ一度も会ったことが無いのですね。
そんな君も、今年は15歳になるの?
年月が経つのはあっと言う間だ!
先週、君のお母さんが、こんなメールを寄越しました。
『Giovanni、あなたに、フランセスを手伝ってやることが
できないかしら?
フランセスが、彼女の来年の試験の一つに、
美術の課題を選択したの。
今、彼女の授業では、異文化をテーマに勉強をしています。
そのテーマのために、一つ、他の文化を選ばなくてはいけなくて、
彼女はそれを日本にしました。
今週、彼女たちは、皆でロンドンへ出かけて、
英国博物館で何かインズピレーションを得ることができる物が無いか、
探してきました。
彼女たちは、日本文化から、何でもこのテーマに使うことができるのです。
それは、特に絵画や彫刻だけでなく、布や、紙や、建築や、衣装など、
何でも良いのです。
何か、良いアイディアがあれば、ぜひ、協力してください。
スーザン』
フランセス、君は知っていますか?
わたし、Giovanniが、フランスで君の両親に最初に会ったとき、
二人は本当に、わたしに親切にしてくれたのです。
わたしは、まだフランスに来たばかりで、
しかも、生まれて初めての海外生活でした。
英語も、自分では話すことが出来ると思って、
日本を出発したのだけれど、
実際には、話すことも、相手が話していることを理解することも、
たいそう難しく、大変な思いをすることの多い日々でした。
(フランスなのに、そこでは英語も一つの日常語だということを、
君も知っているよね?)
それを、君のお母さんは、
わたしの話す奇妙な英語を、注意深く、忍耐強く耳を傾け、
理解しようとしてくれたのです。
異文化の中で、戸惑う気持ちは、
わたしにも、とても良く分かります。
ですから、今度は、
異文化への大きなチャレンジをしようとしている、
君を、わたし、Giovanniが、手伝う出番だと、
思っています。
(続く)