と、朝のお祈りの時間を告げる鐘が、
小さな丘の上の村全体に響き渡る。
8時とは言え、空はまだ真っ暗な、
ヨーロッパの朝。
心地よい眠りを、大きな鐘の音に打ち破られ、
少し不機嫌になる。
ああ、もう少し、こうして温々と、
眠っていたいのに。
それでも鳴り止まぬ、鐘の音。
おや?待てよ?
その次の瞬間、
自分が何か大きな間違いをしでかしていることに、
気がつき始める。
今までの眠気が、
ウソのようにどこかへ取り去られ、
体中の血液が、
ドクドクと音を立てて、巡って行くのが分かる。
遅刻だ!!!
この鐘がなる時間、それは、すなはち、
修道士たちと、村の人たち、そして、
今この村へ巡礼にやってきている、
数百人の巡礼者たちが、
すでに、御堂に集まってきており、
もうまさに、最初の詩編を、
美声を持った、フレールJ-Mが、
歌い出そうとしている時分なのだ。
そして、人々が寒い村の道を歩いて、
御堂に入ったときに、
適度な暖かさの暖房が効いており、
前方のサンクチュアリーの、無数のキャンドルに、
暖かな光が灯されていなければいけない時間。
何を隠そう、それらの準備を行うのが、
わたし、Giovanniの仕事である。
わたしは、まだ、呆然とベッドの上におり、
途方に暮れていた。
が、次の瞬間、
わたしは、服を着替え、靴を履き、
まるで、背中に翼をつけた天使の如く、
自分の住む小さな家から、御堂までの道を、
飛ぶように、走っていった。
いつもなら、ゆっくり6、7分はかかる道を、
どうやったか、2分で到着したのだった。
御堂の扉を開けると、
そこは、いつもの朝の祈りのために、
全ての準備が整えられた、
静かな、空間だった。
(後で分かったが、フレールJ-Jが、
全ての準備をしてくれたそうだ)
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あー、暖かい日差し。
ぽかぽかして、気持ち良いなぁ。
たまの休みは、こうしてゆっくりと眠る。
あれ?休みだっけ?
違うよね?遅番だよ、遅番。
ううううん!!
違う、違う!
普通に早番だってば!!!
な、何時?今?
時計は朝礼時間の3分前!
間に合うはずがない!
それから、わたし、Giovanni、
数年振りに背中に翼を生やして、
いつもは45分かかる道のりを、
30分で、飛んでいったのだった。
(フィクションではありません。)
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